虚の鎖
貴方は自由を尊ぶ素振りで、いつも私にそれを誇示するの。
でも私には最初から分かっていたわ。
貴方が不自由を欲しがっていること。
身動き出来ない小さな檻の中で、
自分が自分で無くなるような恐怖。
唯一逃げられない自己からの逃避にも似て、
その恐怖はやがて解放感に変わるの。
身に覚えがあるでしょ?
貴方が大切に守っているものを放棄した時、
貴方の中には快楽の風が吹く。
罪の火種を業火に変えて吹きすさぶの。
その時が来れば、縄も手枷も野暮な小道具。
見えない鎖が永遠に貴方の自由を阻むわ。
例え遠く離れても私は貴方を縛り続けるの。
楽しみでしょ?
貴方の自由の終焉をここで待っていてあげるわ。
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